イスラエルの新年

城西支部国際部 米山 伸郎

 中東イスラエルの新年は、今年の場合9月6日からスタートしたそうです。
正確にはその日の日没から暦が始まります。
 イスラエルの暦は太陰太陽暦と呼ばれる月と太陽の関係に基づく暦で、我々が日常利用している西暦とは異なり、毎年、正月の日が異なります。 中国の旧正月の週が毎年違うのと同様ですね。
今年9月に迎えたばかりのイスラエルの新年とは、ヘブライ歴5782年となるそうです。 
日本が、神武天皇の即位から数えた皇紀で今年2681年を迎えているのに対し、アダムとイブの旧約聖書の世界はその倍以上の暦を持つものです。
因みに、イスラエル暦の正月とは、神が人間を創造し、人間が神との間で特別な契りを交わした記念日となるそうです。
 イスラエル人を始め、世界中のユダヤ人がヘブライ語で「Rosh Hashanah」と呼ぶこの正月は、彼らにとってとても大切な祝祭日で、大晦日から3ケ日を家族と共に祝います。
日本人でユダヤ教に改宗されてユダヤ人となられた方から送って頂いた“新年の挨拶”では、「ユダヤ人の多いNew York、そしてイスラエルでは、リンゴに蜂蜜をつけて、新年が蜂蜜のように甘い、sweetな年であるようお祝いをします」「日本では、晦日蕎麦を食べる習慣がありますが、ユダヤでは宗教儀式として、単なる習慣ではなく、正月Rosh Hashanahの前日の夜、お祈りのKiddushを唱え、手を洗い、そしてChallahというユダヤのパンを蜂蜜に漬け、そしてリンゴを蜂蜜に漬け、家族全員で食します」「その後、家族全員で「Ye-hi ratzon she-ti-cha-desh alei-nu shanah tovah u-metu-kah(ヘブライ語)—“May it be Your will to renew for us a good and sweet year.”」とお祈りします」と書かれていました。
 ICTや医療、バイオ、そして航空・宇宙・防衛などのハイテク分野でのイノベーションで
アメリカと共に世界をリードするイスラエル人ですが、ビジネスでは我々と同じ西暦に基づきアポイントを取り、契約を交わします。 また、ファッションやスポーツ、映画、音楽などコンテンポラリーな文化も我々と何ら変わるところはありません。
 一方、千年単位で続く暦に基づきユダヤ教の祝祭行事を家庭で続け、安息日の金曜日は仕事をせずしっかりと休むという伝統墨守の姿もあります。 
 このイスラエルの「継続」と「変革」は、日本の「不易流行」を超えて「動的」であり、また「静的(継続的)」な面があるような気がしますが、皆さんはどのように感じられますでしょうか。