国際部 飯崎 充

1.トマト卵炒めの謎
 1980年代だったと思います。改革開放の初期でまだまだ貧しかった頃の中国北京、出てきた料理が「西紅柿炒鶏蛋(シーホンシーチャオチータン)」、南方の言い方なら「蕃茄炒蛋(ファンチエチャオタン)」でした。西紅柿(西洋の赤いカキ)或は蕃茄(異国のナス)はトマトのこと、それをクシ切りにして溶き卵とフワッと炒め合わせて多少の調味料を加えただけ、日本なら「目玉焼き」クラスの、誰もが作れる超簡単家庭料理とのこと。「えっ、トマトを油で炒めちゃうの」と引いてしまいましたが、食べてみると実にうまい。みずみずしさを残したままのトマトの酸味と卵の甘みが油のコクをまとってアツアツ。「へ~っ、トマトって炒めても美味しいんだ」と驚きました。同時に疑問がわきました。これだけ簡単で美味しい「トマト卵炒め」が、日常的に中華料理を食べ、町中華もたくさんある日本で、どうして知られていないのだろう、と。

全文はこちらへ…