国際部 浦 美和子

 MLB(Major League Baseball)での日本人選手の活躍が話題になるたびに、野球ファンとして嬉しい気持ちになりますよね。でも、私は断然NPB(日本プロ野球)派です!特に北海道日本ハムファイターズのファンで、シーズン中は何度も球場へ足を運びます。毎年本拠地エスコンフィールド詣でもしてます。今年のファイターズは強く、観戦にも力が入ります!
 ファイターズの強さを支えているのがレイエス選手。豪快なホームランと明るいキャラクターでチームの人気者です。NPBでは各球団が外国人選手を上手に活用していて、バッターやピッチャーとして重要な戦力になっています。
でも実は、NPBの「外国人枠」には色々なルールがあるのをご存じですか?本記事では、意外と知られていないNPBの外国人選手に関する制度について、ご紹介します。

1. NPBにおける外国人枠のルール

 NPB(日本野球機構)では、各球団が外国人選手を獲得することができますが、その出場には「外国人枠」という制限があります。
2025年現在、外国人枠は以下のようになっています。
 ・1軍登録枠(支配下登録)での上限は5人まで
 ・同時に出場できるのは4人まで
 ・内訳は投手・野手のどちらかに偏りすぎないこと(例:4人全員投手は不可)
 このルールによって、1軍のベンチ入りメンバーにおいて、外国人選手ばかりが占めることはできない仕組みになっています。たとえば、外国人野手3人をスタメンにしたい場合、登板できる外国人投手は1人までとなります。
なお、育成契約の外国人選手に関しては、1軍出場がない限りこの枠に含まれません。育成から支配下に上がって初めて、枠の対象となります。

2.なぜ外国人枠の制限があるのか?

①日本人選手の出場機会と育成の確保
 外国人選手は即戦力として期待されることが多く、高い能力を持つ選手が多いです。もし外国人枠が完全に撤廃されれば、各球団が競争力を高めるために多くの外国人選手を獲得し、結果として日本人選手の出場機会が減少し、特に若手選手の育成に悪影響を与える可能性がある、つまり「日本人選手の出場機会を守るため」という考え方が伝統的な主な理由とされています。

② 戦力の均衡化
 潤沢な資金を持つ球団が、際限なく高額な外国人選手を獲得することで、リーグ全体の戦力バランスが崩れることを防ぐ狙いがあります。現在の「投手または野手として同時に登録申請できるのは、それぞれ3名以内」という制限も、特定のポジションに外国人選手が集中しすぎることを防ぎ、戦力の偏りを抑制する意図があります。

3.外国人ではなく日本人と同じ扱いになる場合

 時々外国人の人数が多く見えるときがありますが、実は国籍が外国であっても、外国人枠に含まれない選手がいます。
以下のような条件を満たす場合、外国人選手でも「日本人扱い」となります。
 ・日本の高等学校または大学を卒業し、日本のドラフト会議で指名された選手
 ・NPB在籍期間が通算で8年以上となった選手(FA取得要件と同じ)
 ・在日韓国・朝鮮人選手など、日本の永住権や特別永住資格を持つ場合

4.興行ビザ(興行2号ビザ)とは?

 NPBで外国人選手がプレーするためには、適切な在留資格(ビザ)「興行ビザ(興行2号)」を取得する必要があります。「興行2号ビザ」は、スポーツ活動による報酬を得て、日本に滞在し、活動を行うための在留資格です。野球に限らず、サッカーや相撲など他のプロスポーツ選手も取得してます。
またプロのダンサー、演奏家、歌手(大規模なコンサートやライブなど) 、 映画、テレビ番組、CMなどの映像作品に出演する芸能人にも適用されます。
 ・有効期間:1年または3年など(更新可能)
 ・活動内容:試合、練習、スポンサー活動など
 ・配偶者・子どもの帯同も可能(家族滞在ビザ)

 NPBの外国人選手が興行ビザ(基準2号)を取得するためには、主に以下の要件を満たす必要があります。
 ・報酬額: 日本人が同様の活動に従事する場合と同等以上の報酬を得ること。(外国人選手が不当に安い賃金で働かされることを防ぐための措置)
 ・招聘機関(球団)の適格性:球団がスポーツの試合を事業として行う機関であること。
  球団の経営状況が安定していること。
  球団が過去に不法滞在者を雇用したり、入管法に違反したりしていないこと。
 ・活動内容の明確性:契約書などにより、日本での具体的な活動内容、期間、地位、報酬が明確にされていること。
  興行(試合)施設が適切に確保されていること。
  興行(試合)日程など、日本に滞在する合理性が示されていること。

 興行ビザの在留期間は、3年、1年、6ヶ月、3ヶ月、30日などがあります。プロ野球選手の場合は、契約期間に応じて比較的長い在留期間が認められることが多いそうです。

 NPBの外国人枠は、戦力バランスを考えた球団戦略、長年の功労選手への配慮、そしてビザなどの法的制度までが絡み合う、非常に複雑で興味深い制度ですね。その裏には球団のスカウティングや契約交渉、法的な手続きがあります。
この記事が「NPBの外国人枠」について知っていただき、日本のプロ野球に興味をもつきっかけになれば幸いです。