コロナ渦で普及したICT「リモートワーク」「web会議」

城西支部 佐々木康志

 ようやく春の到来を感じることが出来るようになってきました。それでも変わらず継続しているのがコロナ渦。もう2年以上が経過しました。この現状は誰が予見することが出来たでしょうか?過去にも世界的パンデミックは起きていますから、当然リスクのリストアップはされていたでしょう。しかし今回のパンデミックは個人のライフスタイル、組織のワークスタイルの常識を変えてしまいました。このいくつものパラダイムシフトの内、誰もが認める変化の一つが「リモートワーク」「Web会議」でしょう。
 人が集まるところに感染が発生する。このことから企業は社員の自宅に待機させる必要が生じました。従来は自宅でPCを使った作業をさせるなんてことは言語道断でした。機密情報が漏洩する、棄損してしまうといったリスクがあるからであったからです。しかし一部の企業でのみ普及していたシンクライアントシステムがこれを可能にしました。シンクライアントは、ユーザーの使用する端末の機能を必要最小限にとどめ、サーバー側で処理を行う仕組みのことであり、サーバー側で処理された結果は、画面情報のみがクライアント端末に転送される。シンクライアントそのものは1990年代からあったらしいですが、今回のこのコロナ渦によって一気に普及が進んでいます。この仕組みを使えば家でも仕事が出来てしまいますから、管理系業務を中心に多くの職種は会社に出勤しなくても良いのです。

出典:ITトレンド(https://it-trend.jp/thin_client/article/explain


 更に「ZOOM」「TEAMS」といった複数人が参加可能なビデオコミュニケーションシステムの普及によって、リモートでの会議が可能になりました。これが普及したことにより営業職は出張しなくて良くなりましたから、今まで距離の制限を受けていた顧客にもプレゼンテーションが出来るので、売り先の幅も広がるといった効果も生まれました。

 

 

出典:CTCエスピー株式会社(https://www.ctcsp.co.jp/products/zoom/meeting/

 コロナ渦はいずれ終息するのでしょうけれども、この新しい仕組みがなくなることはないでしょう。一方で課題もあります。リモートワークの仕組み導入は、便利で簡単の様で実は結構面倒な側面もあります。サーバーの設置やネットワークの構成を検討して、どの範囲の職種に、どれくらいの端末を配布するかといった技術面に加えて、労務管理等の社内管理制度も検討しないといけません。技術面はITベンダーに頼めばやってくれそうな話ですが、社内管理の仕組み構築や制度化、設備を準備するために必要な資金調達等の課題は、リテラシーや社内スタッフの乏しい中小企業等においては、広くサポートが可能な中小企業診断士によるサポートが必要ではないでしょうか。