沖縄での農業経営者サポート事業

城西支部 新田 慶子

 東京都と沖縄県を往復しての中小企業診断士活動は、4年目になりますが、農林水産省の直轄事業として「農業経営者サポート事業」への企画と専門家としての参加をする機会に恵まれました。商工関連事業者の支援が多い中小企業診断士が農業経営者へ支援に入ることに戸惑いもありましたが、「農業経営者に中小企業診断士のような専門家を活用した支援を受けることで、経営センスを身に着けて欲しい」という要望があり、引き受けることにしました。
 事業内容は、セミナー開催により支援農業者の掘り起こしを行い、専門家による経営相談、経営診断、専門家派遣、訪問指導等を行うことでした。実施に当たっては、沖縄県本島だけでなく、離島も支援することとされており、八重山地区、宮古地区への支援も行いました。

 特に成功した事例として、石垣島の米農家さんのドローンによる農薬散布事業化計画があります。支援に入った時の相談内容として、業務の効率化がありました。高齢化で作業が出来なくなった農家さんから圃場を買い取ることで、まとまった地域に圃場があるわけではなく、圃場を確認しにいくだけで半日かかるほどでした。各圃場への農薬散布は、人手で行うと一か所につき3時間以上かかり、人体への影響も懸念されます。そこで、ドローンによる農薬散布を提案しましたが、最初は操作に懸念があるといわれたので、レジャー用ドローンの体験をしてもらいました。

 体験してもらうと、操作への懸念がなくなり、積極的にドローンの導入に進むことができました。導入するのは、産業用ドローンで農薬という危険物を散布するため、講習も受け体制を整えて現在はドローン散布を行っています。
 その結果、3時間以上かかっていた作業は、5分に短縮され、冷房の効いた車内から操作することができるようになり、とても楽になったと大好評でした。さらに、ドローンの農薬散布を近隣の農家へ行う事業も計画するなど、今後が楽しみです。
 農業経営者への支援は、中小企業診断士として活動の幅を拡げる良い機会になりました。