それでいいのか日本人~信号を守りすぎる人々
国際部 中村寛
以前「そこがヘンだよ日本人」というテレビ番組があった。大勢の外国人がスタジオに集まり日本のおかしなところを指摘する内容で、海外生活が長い方にとっては共感できる内容も多かったのではないだろうか。また海外生活経験のない方にとっても外国人が日本人をどう見ているかが面白く感じられたことと思う。
実は私も日頃から「日本人って変だな~」と思うことがある。今回はその中の一つをご紹介しよう。記載内容はあくまで私見であり、軽く流していただきたい。
【信号を守りすぎる日本人】
日本人の歩行者は車が全く来ていなくても赤信号では道を渡らない。片側1車線の狭い道でも渡らない。外国人の多くがそれをヘンだと考えている。日本ではそれが当たり前であり、歩行者信号が赤で道を渡っている人を見ると嫌な気分になる。子供には「あんなことをしたらダメよ」と言って教える絶好の反面教師的題材だ。やはり日本人の規範意識は素晴らしい。
しかし多くの日本人は気づいていない。これが危険と裏腹であることを。少々古いデータだが2017年に私が調べた調査機関の報告では、道路横断中の事故のうち横断歩道上で起きた人身事故の割合は米国が12.5% 、カナダが13.5% だった。日本はどうか。答えは33.3% だ。これをどう考えるかであるが、要因は2点あると考える。一つ目は多くの日本人が横断歩道を渡ることだ。このため必然的に横断歩道上の事故が多いと考えられる。二つ目は、これが今回の本題であるが、横断歩道を渡るとき左右を確認しない人が多いということである。
皆さんも是非確認していただきたいのだが、歩行者用信号があるところではほぼ100%と言っていいほどの人が左右を確認しない。青になった信号だけを見て渡っている。信号を信用しきっているのだ。さらには歩行者用信号がない横断歩道でも「歩行者優先、車は止まるべき」と言わんばかりに車が来ていても渡る人がいる。しかし車は急に止まらない。それどころか最近は運転手が発作を起こして車を制御できなくなった、高齢者がアクセルとブレーキを間違えたといったニュースをよく目にするようになった。車が止まるとは限らない。自動運転の開発が急がれる理由の一つだ。
二日ほど前テレビのニュースで、札幌の映像だったが歩行者信号が青で渡っていた小学生数人の列に車が突っ込むシーンが流れていた。複数の子供が怪我をしたとのことであった。いくら赤信号で突っ込んできた車が悪いと言っても、怪我をするよりしない方がよい。歩行者用信号が青でも左右を確認しようと思う。
[1] report by the National Highway Trafic Safety Administration in 2006 (reported on HP of “IMPACT recovery SYSTEMS”(San Antonio,US)) [2] Halifax Regional Police Data 2006 (Halifax,Nova Scatia,Canada) [3] 交通事故総合分析センター 平成22年第13回交通事故調査・分析研究発表会 歩行者事故の特徴分析(石川敏弘)