私は企業内診断士です。勤務先での業務として小規模法人の経営支援を仕事にしていましたが、最近になってICT・IoTを活用した新しい業務支援システムの事業推進を担当することになりました。この業務におけるマーケティングやクライアントの支援を通じて気づいたことをいくつかご紹介します。

1.新しいベネフィット
 新しいベネフィットを提案する場合、マーケティングの中心は当初想定したターゲット層の検証と、隠れたターゲット(つまり潜在ニーズ)の発掘になります。
 新しいモノの提案に対して返ってくる最初の反応は「なるほど面白いね」「こういうものが必要だよね」というのが大半です。こちらとしても調査してニーズを考えた上でビジネス化しているし、ニーズを有するターゲットもだいたい想定しているわけですから、まあだいたいは、こんな答えが返ってくるわけです。しかし実際に契約に至るかというと、それはまた別問題。当然のことながら経済性・費用対効果(欲しくなる理由)がアピール出来ないと買ってはもらえません。成熟している商材には必要がない「ベネフィットの提案=使うと起きる良いこと」「費用対効果=損をしない得するロジック」の説明と購買ロジックの納得を得ることが重要になります。あまり競合が出現していない状況では、この作業を素早くそして粘り強く行うことが大事です。また、この作業を繰り返していくことで顧客との関係性が構築されることにもなりました。事業立ち上げ当初に良くしてくださったお客様には、何か特別な感謝の気持ちを覚えます。とても勉強させていただきました。

2.企業内診断士が強みを発揮できる「IT導入補助金」
 中小企業診断士のみなさんは、「もの補助」のような補助金申請の支援もされていると思いますが、よもや勤務先の仕事でこれをやるとは思いませんでした。「IT導入補助金」は上限50万円、補助率1/2、採択率9割、Webを利用した申請なので、とても利用しやすい補助金です。ただし補助対象となるのは、あらかじめIT導入支援事業者として認定されたベンダーが提供する、これまたあらかじめ認定されたITツールのみです。したがって補助金を使って自社製品を売りたいベンダーは、まずIT導入支援事業者としての認定と、商材となるツール・システムの認定を申請し、採択されることが必要です。ようやくこれらが認定されたら、潜在顧客からの引き合い(補助金ポータルサイト上のツール検索でヒットされるか)を待つか、ベンダー側から見込み先へ提案するかということになります。無事マッチング(実質的な契約内示)に成功したら、補助金の申請をすることになります。この補助金の特徴は、IT導入支援事業者が、顧客となる補助金申請者と協業して申請を行う点にあります。
 また申請においては、経営自己分析と簡単な事業計画を作成する必要があります。この作業を通じて申請者の経営ビジョンや経営状況、情報セキュリティのリテラシーなどについて、一緒に考える良い機会にもなります。そして顧客と一緒に補助金申請を行うにあたっては、診断士としての経験・スキルがおおいに役立ちました(顧客満足度ももちろんアップします)。特に企業内診断士の方々にはそのチカラを発揮するのに、とても良い補助金だとも思いました。顧客企業にも勤務先の会社にも「あなたのお役立ち」が、きっと評価されるのではないでしょうか?
今回の公募はもう終了してしまいますが、もし来年もまたこの補助金が募集されたらチャレンジしてみてはいかがでしょうか?