西武井荻商店街振興組合キャッシュレス化促進支援 杉並中小企業診断士会 安田嘉秀
1、はじめに
杉並中小企業診断士会では、西武井荻商店街振興組合(以下、西武井荻商店街)のキャッシュレス化を促進する「PONTE IOGIスマート商店街」プロジェクトを、杉並区チャレンジ商店街サポート事業として令和元年7月より取り組んでいます。
2、西武井荻商店街の状況と事業目的
西武井荻商店街は、杉並区北部の西武新宿線井荻駅を中心としたエリアに位置し、周囲を閑静な住宅街に囲まれた典型的な近隣型商店街です。夏の盆踊り大会や、秋のフリーマーケットなど定例イベントも開催され、イベント時にはかなりの盛り上がりを見せています。しかし、環状八号線と西武線で四方に分断され商店街としての一体感が薄く、近隣商店街に比べ規模も相対的に小さいため、商店街の顧客吸引力を強化し活気をさらに高めることが求められています。
また、当商店街も大手チェーン店が増えるなか、個人商店の競争力向上も課題であり、その手段の一つとしてキャッシュレス対応がありますが、情報交錯や知識不足で不安を感じ導入に踏み切れない個人商店が多いのが現状です。
そこで、商店街としての利便性を高め商店街利用を促進し活性化することを目的とし、消費税増に関連した国の施策である「キャッシュレス・消費者還元事業」のタイミングに合わせ、キャッシュレス化促進支援事業に取り組むことにしました。
3、「PONTE IOGIスマート商店街」プロジェクト支援内容
当事業では、大きく3つの項目で実施しています。
(1)キャッシュレス化の導入基盤づくり
最初に商店街の基本統計把握のため通行量調査を行うと同時に、来街者アンケートで商店街へのニーズやキャッシュレス決済利用状況などを調査しました。また、各商店様へのキャッシュレス化導入状況や意向についてのアンケート調査も実施しました。これら調査結果をもとにキャッシュレス化の現状と課題を提言しました。
(2)商店街キャッシュレス化実行支援
商店向けの「キャッシュレス・セミナー」を開催し個別相談にも応じました。さらに「キャッシュレス・消費者還元事業」啓発チラシを作成し各商店へ配布しました。これはアンケート結果から、キャッシュレスは導入していても還元事業についてはあまり良く知らない商店が多かったためです。
(3)来街者への啓発活動
消費者向けにも「キャッシュレス無料相談会」を開催し、消費者の質問などに対応しました。つぎに、商店街ロゴをあしらった「キャッシュレス利用促進のぼり」を作成し商店街一帯に設置しました。キャッシュレス決済利用のメリットを端的にアピールすると同時に、商店街の賑わい演出にも効果がありました。これらのイベントは、商店街のFacebookページにも掲載していただき、西武井荻商店街のPRネタとしても活用いただきました。
4、最後に
本事業を契機にキャッシュレスを導入された商店もありますが、依然キャッシュレス化へ消極的な商店も多く、商店街として一体的な取り組みの難しさも感じました。しかし、キャッシュレス化の流れは今後も進むと考えられ、本活動の振り返りを行い、今後の商店街活性化につなげていきたいです。