杉並中小企業診断士会の中村實理事長 聞き手・文:津田 美奈江(地域支援部)
2回目は、お生まれも育ちも杉並区、地元愛に満ちた中村理事長にお話を伺いました。
1.中小企業診断士としての経歴
2.多様な会員が在籍
3.診断士のスキルを活かして、まずは地元に感謝される活動から
4.スキルを持った人同士の相乗効果で活性化
5.城西支部と杉並中小企業診断士会
6.地域支援活動で感謝されたこと
1.中小企業診断士としての経歴
津田:本日は地域支援部のインタビューにご快諾頂き、ありがとうございました。
最初に、私が杉並中小企業診断士会(以下、「杉診」と略す)に入会するときの面談でお会いした時、理事長はとても地域への愛着が強い方だと言う印象がありました。
中村理事長:そうですね、地域に密着するために、地域を愛する、そういうものはあります。それを一番に持っています。
津田:それは杉並診断士会に入会される前から?
中村理事長:それは、私が阿佐ヶ谷生まれ、阿佐ヶ谷育ちだからと言うのはあるかもしれないですね。もともとそういうものは持っていました。それが、診断士会に入って理事長になってから、運営するにあたって、より強く意識するようになりました。代表者として、そういうものは持っていた方がいいと思います。その考えでずっと運営をやってきました。
津田:中村理事長は、現職に就かれて大体何年くらいになるのですか?
中村理事長:理事長になって丸8年、今9年目です。
津田:そんなに…長いんですね、
中村理事長:私は平成4年に、診断士登録をしました。平成4年というと、1992年、今から27年前です。それでその時の実習の先生が中央支会、今の中央支部を当時は中央支会と言っていましたが、その先生とのお付き合いで最初中央支会に入りました。それで会社の定年が近づいてきた時に、当時の東京協会の会長に、定年過ぎたら地元でやりなさいと言われて、それで2006年、定年の1年前に城西支部に移動しました。そして杉診にも入会し、13年になります。それから4~5年後に責任者になって、丸8年ですね。
2.多様な会員が在籍
津田:杉並区診断士会の、他の診断士会と比べた特徴はどんなところでしょうか?
中村理事長:それはやはり、約110名の会員のうち、50人近くが杉並区民であること、また、過去に杉並区に住んでいたり、区内の学校に通っていた人を含めると半数を超えているところです。もちろん千葉の方とか神奈川の方、埼玉の方など、他県の人もいれば三多摩の人もいます。その区に住んでいる方が半数弱と言うのは、なかなか他の診断士会ではないのでは、と思いますね。
また、中小企業診断士以外の士業の人もいれば、士業でなくて、一般企業で活躍されている方もいますね。
津田:中小企業診断士でも他の士業でもない・・・?!そういう方も入会できるんですか。
中村理事長:そうです、杉診はNPO法人だから。入会の制限がないですからね。そういう方の中には、企業での独特な実績もあり、多くの中小企業診断士と比べて積極的に地域貢献に協力されて、会への貢献を生み出している方がいます。
補足しますが、一般社団法人東京都中小企業診断士協会(城西支部、及び他の5支部からなる)は、中小企業診断士の集まりですが、杉診は、特定非営利活動法人ですので、中小企業診断士以外のメンバーも入会されています。組織としては、東京協会とは別組織です。
3.診断士のスキルを活かして、まずは地元に感謝される活動から
津田:なるほど、人口統計的なところをお伺いしましたが、他に制度面とか、人材育成とかにおいて、何か特徴的なところはあるのですか?
中村理事長:そうですね、今後、考えたいのは多様なプロジェクトを作って、多くの人に参加してもらえる工夫をしたい、とは思っています。今でもあるけれども、いっぺんには無理ですから、少しずつやって行きたい。
会社と違って各会員は仕事の基盤はそれぞれが持ってほしいですけど、方向性としては地域貢献というものを共有して行きたい。また、企業と違って売上中心というわけにはいかない。ですから、まずは地域の皆さんに喜んでもらえる、そういう活動を目指してますね。
また地域の多くの方には、診断士の仕事も、まだよくわかって頂いていないから、そういうものもPRしていくことが必要ですね。診断士は一応経営の勉強はしてきていますから、その知識を活かして、地域の団体への支援を目指すことです。金銭的なことは後からついてくるものだと思いますね。地域団体としては、杉並区を筆頭に、東商杉並支部など色々あるけれど、そういうところとうまく付き合っていけば、いいビジネスも生まれるものだと考えています。
でもまだまだ我々診断士会のことは地域に十分には知られていません。それらの地域団体に対してもっともっと提案をしたり、支援をして、浸透して行きたいですね。
個人的にはいろいろ動いているつもりですけれど、地域の団体と言っても色々ありますので、それらの人と、単に名刺交換するだけではなく、本当の意味での支援ができるようにしたいですね。
「杉診ニュース(杉診の会報)」にも書いたように、今年は消費税の引き上げなどを契機にキャッシュレス化の動きが活発化し、それらの時代の変化に迅速に対応するため、地域団体との連携強化などを本年度の方針に掲げています。
そのためには今後、多様なプロジェクトを作って、多くの人に参加してもらえる工夫をしたいですね。
津田:そのためには具体的にどのようなことを?
中村理事長:やはり提案とか課題設定をしたりと言うのは、2、3回相手と会っただけではできないですから、定期的に責任者と会ったりしながら関係づくりをしたいと思います。すぐみんなお金とか考えますけど、まずは地域貢献から入ることです。ビジネス志向ばかり先行しちゃうとうまくいかないと思いますね、難しいところですけど。
4.スキルを持った人同士の相乗効果で活性化
津田:このインタビューの目的の一つとして、各診断士会のPRの場にして欲しいっていうのがあるんですが、会長はその、杉並区診断士会をPRして、もっと会員を増やしたいとか、そういう意向はございますか?
中村理事長:いや、会員数の増減は特に目標にはしていません。単純に増やすと言うより、スキルを持った人、意欲のある人に入って頂ければ、相乗効果が生まれますし、活性化に繋がると思います。いい意味でのPRはいいですけどね。
5.城西支部と杉並中小企業診断士会
津田:城西支部に訴求したい点とか、ありますか?
城西支部も今、「フロントランナー城西」と言うスローガンを掲げて変革を図っていますが。
会長から城西支部へのご意見でもいいし、又は杉並区診断士会として城西支部に対する要望などでも構わないんですが。
中村理事長:そうですね、そういった活動への取組みはいいことだと思います。ただし、各地域のことは、地域の診断士会がやっているわけですから、城西支部としてはもう一つ広い意味での活動になると思いますね。でも地域間連携を図る、と言うようなことがありましたら、支部が音頭を取った方がいいかもしれませんね。そういう場合にはもちろん協力するつもりです。
津田:杉並区診断士会は、私も入会してまだよくわかっていないんですが、地域密着した活動をしていると言う印象があるのですが、その中で今までのノウハウが蓄積されていると思うんですね。それらを含めて、城西支部の他の3つの各区診断士会と、こういうものを共有したいとか、連携したいとか、ありますか?
中村理事長:先程、お話ししましたが、地域間にまたがるようなイベントなどがありましたら、関連する診断士会とご協力して進めたいと思います。また、時流の変化などで連携が必要な事業等が生じた場合は対応したいと思います。
6.地域支援活動で感謝されたこと
津田:今までの地域支援の活動の中で、とても嬉しかったこととかありますか?
例えば商店街支援とかで、成果が出たとか。すごく集客に繋がって感謝されたとか。
中村理事長:成功・失敗にはね、あまりこだわっていないけど、それはありますよ。
妙法寺商店街は、2008年と2009年にアドバイザーとして派遣されました。その前の約30年間は、イベントは、歳末を除くとゼロの商店街でした。私がアドバイザーとしての2年目の2009年から、「夏のふれあい祭り」がスタートしまして、今年で11回目となりました。火つけ役にはなったのかもしれません。
津田:へえ~、どんなことをやられたんですか?
中村理事長:いや、その時の会長がやる気があったからですが、頼まれたことを調べたりとか、当たり前のことをやっただけですけれど。今のアドバイザーがさらに、盛り上げていますが、ゼロからの出発でした。
津田:会長になられたメリット・デメリットがあったら教えてください。
中村理事長:メリットは地域の人との人脈が広がったことです。デメリットは、これは気もちの問題ですが、責任が重くなったことですね、やはり代表者って、何かあれば自分がやったことではなくても呼び出されますからね。
津田:なるほど、本日はお時間いただき、ありがとうございました。
【編集後記】
ご自身の想いを正しく伝えようと、一生懸命言葉を選びつつお話しくださる姿に、とても誠実さを感じました。私は少し前に杉並診断士会に入会させて頂き、まだ何もわかっていませんが、いつも会の活動には理事長自ら率先して取り組まれています。100人以上もの会員を率いるのはご苦労もおありかと思いますが、この調子でこれからもお願いいたします!