城西支部 国際部
浦 美和子

4月の下旬、我が家に黒い豆柴の子犬がやってきました。期せずして、コロナの感染拡大対策で、テレワーク中心になり、ステイホームの日々でしたので、一緒に長く時間を過ごし、成長を見守ることができて、うれしく思っています。
飼い始めてから、柴犬に関する情報収集を色々とする中で発見がありましたので、今回は柴犬をはじめとした日本犬について、書きたいと思います。

   我が家の嵐丸(らんまる)6ヶ月

1、豆柴という犬種は存在しない
 人気の豆柴ですが、犬種として「豆柴」は存在しません。豆柴は、柴犬(しばいぬ)を長い歴史の中で何代にもわたって、小さい個体同士を交配させて、世の中に存在するようになりました。日本の住宅事情により室内で飼える小型犬が好まれるようになり、豆柴はそのニーズにより愛好者が増えてきました。
定義としては、柴犬は公益社団法人日本犬保存会が昭和9年に柴犬の標準体高を“雄39.5cm“、”雌36.5cm“と規定しており、それに比べて小さい個体が一般的には「豆柴」とされています。よって、あくまでも小型の柴犬ですので、血統書上は「柴犬」と記載されます。

2、柴犬は天然記念物
 柴犬をはじめとした日本犬ほか5種(秋田犬、甲斐犬、北海道犬、四国犬、紀州犬)は昭和初期に国から天然記念物に指定されました。秋田犬が一番早く昭和6年に、柴犬は昭和11年に認定されました。
文化庁によると、天然記念物とは、「文化財保護法により、動物,植物及び地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いもののうち,重要なもの」とされています。日本列島の成り立ちを示す地質現象や,過去の生物の姿を知ることのできる化石,日本列島の生物地理学的な特性を示す固有種等の動植物などで,日本列島がたどってきた自然史としての意義を持っています。
柴犬は日本が原産国で、古く縄文時代から存在していました。犬の祖先はオオカミですが、柴犬はオオカミのルーツを思わせる風貌を維持しています。今後も天然記念物として、規定されている風貌や体型を守っていく必要があります。

出典:公益社団法人日本犬保存会HP 「柴犬」

3、海外での人気上昇中
 日本犬は海外での人気がぐんぐん上がっています。海外の日本犬ブームに火をつけたのは、ハリウッド映画の「HACHI 約束の犬(リチャード・ギア主演)」と言われています。ハチは、秋田犬です。記憶に新しいところでは、フィギアスケートのザキトワ選手が秋田犬を飼うことになり、話題になりました。秋田犬は大型犬で、体重が50キロくらいになるため、日本では飼育頭数が少ないのですが、家が広い欧米では問題なく飼われており、いまや秋田犬の飼育頭数は日本より海外の方が多くなっています。
 日本文化に興味を持つ外国人が増えている中で、その文化の一つとして日本犬への注目度も上がってきました。柴犬は、欧米人に「Shiba inu」として知られています。「Sushi」などと同じように日本語がそのまま浸透しています。欧米の犬は、狩猟犬や牧羊犬として活躍できるように品種改良をされてきましたので、大きさから足の長さ、毛の長さ、尻尾の形状など、風貌は様々です。そのため、オオカミの面影を残していて、きわめてシンプルな日本犬は海外ではかえって新鮮に映るそうです。また、日本の天然記念物ということも希少性から人気につながっているようです。
 公益社団法人日本犬保存会は、海外支部を複数持っていることからも日本犬の人気度が分かります。アメリカ、中国、韓国、ロシア、はたまたスウェーデン、ハンガリーにも支部があります。

 ネットで世界中が繋がるようになった今、日本の文化について海外でも情報収集をしてもらえるようになりました。日本のアニメ文化は海外でも大人気ですし、アニメ人気から日本のランドセルが大人の外国人に人気で、購入しに来日するなど、意外なことに注目が集まります。日本犬についても見慣れている我々日本人にはわからない点に外国人の関心が集まることが分かりました。
 新型コロナの影響で訪日外国人は激減していますが、収束した後には、日本文化を求めて、また多数の外国人が来日してくれることを願います。

【参考文献】
・公益社団法人日本犬保存会HP
・豆柴ブリーダー富士野荘HP
・文化庁HP