城西支部会員診断士へのインタビュー
湯山恭史さん(小日向経営サポートオフィス代表)

聞き手、文:長谷川綱雄(地域支援部)

 今回は4年前に独立して、ものづくり企業の支援やIT活用、情報管理の専門家として活躍中の湯山恭史さんへのインタビューを行いましたので、ご紹介します。 定年退職後に独立開業される中小企業診断士の参考になるようなお話をお聞きしました。

1.中小企業診断士になったきっかけ
2.これから独立しようとしている診断士へ
3.独立後の人脈作り
4.現在の仕事の内容とJCGでの仕事

 湯山さんは日立製作所で半導体部門、情報システム部門などでITシステム企画・開発や情報セキュリティのマネジメントを担当され、中小企業診断士と行政書士の資格を取得した後に、独立開業して現在中小企業支援で活躍されています。

1.中小企業診断士になったきっかけ
Q: 中小企業診断士になったきっかけについて教えてください。
湯山: もともとは情報システム部門のIT屋だったのですが、関連会社のCIO的な立場になり、現業部門とIT部門の連携プロジェクトの指揮をとることになったのがきっかけで、IT分野だけでなく財務、経営についても勉強する必要があり、中小企業診断士を取得することになりました。 後で聞くと社内で診断士を持っている人は結構いることがわかりましたが、他の方も現在の仕事に役立てようと考えて診断士になったのではないかと思います。
Q: 将来独立するつもりで、若いうちから企業内で診断士を取得する人も多いと思いますが?
湯山: 私は62歳まで企業に勤めてから独立しましたが、人それぞれだと思います。
若いうちから企業内で診断士としていろいろなことを経験しておいてから独立する人は、スムーズに独立でき、活躍しているのではないでしょうか。
 私の場合は、独立してから最初の年の収入は元の会社からの仕事が多かったです。言わば独立後のブースターになっていたのですが、そのうちにだんだんその比率が減っていきました。

2.これから独立しようとしている診断士へ
Q: これから独立しようと考えている企業内診断士の人のためになるような話があれば聞かせてください。
湯山: ある程度プランを作ることが重要だと思います。私の場合、5,6年分の財務計画を作りました。 退職後のライフプランを作るのと同じですが、年金を貰えるまでに収入がボトムになる時期があるはずです。 プランを作っておくと、先のことが予想できるのでプランは作った方がいいと思います。
プラン通りになっているかというと、なっていませんが、特に売上(収入)というよりは、パソコンを買ったりなどで、経費が予想以上にかかったりしました。でもお金を貯めるために仕事をしている訳ではないので、だいたい想定通りです。

3.独立後の人脈作り
Q: 独立後の人脈作りについてお聞かせください。
湯山: やっぱり、仲間を作った方がいい。グループに入るのも良し、研究会に入るのもいいと思います。現在は情報管理研究会、事業承継研究会、デジタル経営研究会などに入っていますが、デジタル経営研究会には大企業の現役の人も多いので、最新の情報技術などの話が聞けて、参考になります。 他の研究会でも人脈ができて仕事の紹介などもしてもらえることも多いです。 仕事を取るというよりは、人と人とのつながりができることが重要で、事業承継研究会などでは研究会後の懇親会で弁護士や、税理士などとも知り合いになることがあり、仕事の幅が広がるのではないかと思います。
とにかく、スーパーマンではないので、一人だけでやらない方がいいと思います。

4.現在の仕事の内容とJCGでの仕事
Q: 城西コンサルタントグループ(JCG)理事としての仕事などお忙しいですか?
湯山: JCG会長の神谷さんと一緒にお客様との打合せに回っていますが、神谷さんがお客様と話をする様子など独特なものがあり、勉強になっています。JCGには多くの案件の話が来ていますが、実際には半分位しか仕事にはなっていません。でも補助金申請の仕事や専門家派遣のセミナーの仕事、中小企業経営支援など、どんどん案件は増えています。
Q: 現在の仕事の内容などについてお聞かせください
湯山: 元の会社からの仕事が2割、公的機関からの専門家派遣の仕事が2割、JCGの仕事が6割といったところです。診断士の収入については、年金額を下回らないことが最低条件だと考えています。

湯山さんとは中小企業の経営支援でご一緒することが多いのですが、専門は情報システムとはいえ、中小企業経営者との会話では非常にわかりやすく企業全般の課題や改善点について説明されることで、経営者に信頼される頼もしい診断士ではないかと思いました。