中野中小企業診断士会では、東京商工会議所中野支部からの依頼を受け、区内の創業準備者向けに実施される「中野de創業塾」への講師の派遣を実施いたしました。年2回実施の内、春コースでは4月5日・12日・19日・26日の4日間にわたり、4名の会員診断士が講師を務め、いずれも好評のうちに実施されました。
 私が担当した初日のテーマは、「ズバリ解説! 起業成功の秘訣とは?」と題し、創業の心構えや事業計画を作成することの重要性に焦点を当てたものでした。4日間の初日ということもあり、参加される方々が積極的に聴講していただける雰囲気を作り、次の講義につなげられるよう心掛けました。
 ここでは、その講義内容の中で工夫したポイントをご紹介したいと思います。

 

 

図1

【講義のポイント】
1、地域性を重視
東京商工会議所中野支部が実施主体ということを勘案し、他の地域での創業セミナーとの差別化を意識しました。中野区の統計資料などから、中野区の開業率や業種の傾向なども紹介しました。参加された方々も身近な話題に関心が集まり聴講する積極性が高まりました。(図1参照)

 

 

 

図2

 また、地域の現状を解説するとともに、地域の様々な関係者や機関とのつながりを持つことの重要性を伝えました。事業を外部に知ってもらうことは、お客様だけが対象ではありません。特に、金融機関や公的機関、経済支援団体などにも事業を正確に知ってもらいより良い関係を築く必要があります。そういった外部との関係性も構築するためにも、それぞれに自分の事業をしっかりと説明できることが重要です。その理解してもらうためのツールとして事業計画書を利用する、といった講義の流れを作り、事業計画書の作り方のテーマに自然に移行することができました。(図2参照)

 

図3

2、ミニワークを複数回実施
 事業計画を作成することの重要性を解説する中で、自分自身やこれから行おうとする事業を上手に人に説明できるよう、表現力を身に付けることが大事であることを丁寧に解説しました。事業者の方々には、事業を上手に他人に説明することが苦手な方もいます。これから創業しようとする方は、融資の申し込みや創業補助金の申請など、今こそ事業を上手に説明できる準備が必要です。
 そのためにも、まずは表現することに慣れていただく機会を、ごく簡単なミニワーク形式として設けてトレーニングしていただきました。ミニワークの内容は、「創業のメリットとデメリットは何が考えられるか」「自分が持つ創業への期待と不安は何か」「経営者に必要な資質は何か」などといったテーマで自分自身の棚卸しと表現することに慣れることを目的に実践していただきました。(図3参照)
自分の想いや考えていることを書き出していただくことで、表現することの難しさや大切さに気付きを得ていただくよう心掛けました。聴講いただいた参加者も熱心に取り組んでいただき、それぞれ数名に発表いただきましたが、その積極性は予想以上でした。

 参加者は20名程度でしたが、4日間最後まで積極的ご聴講いただき、盛況で実施することができました。今後も中野中小企業診断士会では、地域で創業を予定されている方たちへ様々な形で支援を行ってまいります。