未来の経営コンサルタントを目指す子供たち

城西支部 阿部恭子

 忙しかったコロナ禍での支援が一段落したころ、ひょんなことからの一般社団法人 夢らくざプロジェクト様(以下敬称略)から子供たちへのお仕事紹介のお手伝いをする機会に恵まれました。

 夢★らくざプロジェクト(https://www.yumerakuza.net/)は、子供たちにさまざまなおしごと体験の機会を提供することで次世代への「夢★デザイン」を応援することを目的として設立した団体で、これまでに「キッズデザイン賞」や「よみうり子育て応援団大賞奨励賞」を受賞しています。

 今回の依頼内容は、都内の中学2年生を対象にした「おしごとなりきり出前道場」という90分のプログラムで、経営コンサルタントの仕事を体験してもらうというものでした。プログラムには他にもグラフィックデザイナーやアナウンサー、弁護士、気象予報士など13のコースがあり、子供たちは体験したいコースを選択して受講します。

 私はシニアを対象にした杉の樹大学を運営していた経験があり、講演には慣れていると思っていたのですが、今回の対象は子供たちです。まず脳裏をよぎったのは、自分が中学生だった頃の学校のイメージです。はっきり言って荒れた時代だったので、いわゆる不良や校内暴力などを心配しました。もし、そうであれば一人で教室をコントロールするのは難しいと思い、主催者におそるおそる聞いたところ、「今はそんな生徒はいませんよ。安心してください」とのこと。半信半疑ながら、時代も変わっているのだからと言い聞かせ、準備を始めました。

 どんな授業にしようかと迷ったのですが、想像しやすい方がいいだろうと考え、下記のようなミッションにトライしてもらうことにしました。「4人のカフェを経営する社長さんから相談を受けた。コロナの影響で売上が激減している。どうしたらいいだろうか?」というものです。資料として店の簡単な損益計算書もタイプ別に用意しました。

 当日はどの程度の言葉なら理解できるのか手探りで確認しながら、3~4人で4つのグループを作ってもらいワークショップを行いました。途中、各グループを回りながらアイデアの芽を見つけ、提案にまとめられるようにサポートしていきます。

 子供たちの考え方には、中小企業診断士の提案に近いものもあり驚かされました。残り5分となり、まとめに入ってもらい、その後グループごとに発表してもらいました。どのグループの発表も大人顔負けの堂々たるものでした。短時間で要点をまとめて伝える力がしっかりと育まれているのです。自分の中学生時代を振り返ってみると、お互いにリスペクトしながらディスカッションし、それを短時間でまとめて発表するなんて、とてもできなかったなと感心した次第です。

 日々のニュースではいじめや教職員の適格性などが報道されることが多く、教育レベルは昔と比べて悪くなっているのでは思っていましたが、大間違いです。子供たちはいつの時代もそうであるように、明るく元気で素直です。違うのはかなり優秀だということぐらいでしょうか。多くの課題を抱えながら子供たちの教育に当たっている現役の先生方の努力には頭が下がります。

 また、主催者の子どもたちは「考えることが大好き」という言葉が印象的でした。柔軟で自由な発想、この子供たちの中から経営コンサルタントを目指す子供がいるかもしれないと思うとワクワクします。未来は思っているよりずっと明るく可能性に満ちていると思った体験でした。