杉並区で荻窪駅だけなぜ高架でないの?     

杉並中小企業診断士会 下平 雄司

 

筆者は、荻窪に生まれ住んで50数年になる。現在も住まいと職場の点と点の往来で荻窪駅を使っている程度であるが、地元の床屋にいくとループして聞かされる荻窪駅のこの話題をコラムする。

■荻窪駅は南北で分断?
荻窪駅は、JR中央線快速が土日も祝日も停車する駅であり、東京メトロ丸の内線の始発駅でもある。中野駅止まりが多いがJR総武線と東京メトロ東西線を加えれば、4本の路線が走っている。

駅名

西荻窪駅

荻窪駅

阿佐ヶ谷駅

高円寺駅

乗降人員(1日)

88,954人

262,047人

89,332人

100,678人

駅前広場の整備状況

北口広場3,460㎡

北口広場2,520㎡

北口広場3,474㎡

南口広場3,130㎡

南口広場2,758㎡

事業所数(駅周辺)※

1,746

2,388

1,849

2,380

出典:荻窪駅周辺 都市総合交通戦略 平成31年1月 杉並区
※おおよそ駅周辺500m圏域内


荻窪駅は上記の4駅でも、唯一高架になっておらず、北口は直ぐに青梅街道となる。そのため東西のJR線路と青梅街道によって南北の往き来が不便で、地元民の多くは南北が分断されていると言う。

■駅南北の景観の違い
荻窪駅は東西の線路と道路により、駅前開発も異なってきて、それが南北の大きな景観の違いにもなったと考えられる。北口には2010年に整備されたロータリーがある。関東バス・西武バス(バスの停車場がロータリー内だけで足りず青梅街道にはみ出している)タクシー乗り場のターミナルとなっている。青梅街道沿いのお陰で、商店街を作るスペースが狭く、それをカバーするのが駅ビルである「タウンセブン」と「ルミネ」になる。一方、南口は一方通行の道路で、駅前広場もなく、商店街(杉診の事務所は南口の仲通り商店会を行ったところ)がはじまり個性的な店が並ぶ。

     

荻窪駅北口ロータリー

 

 

 

 

 

 

 

天沼陸橋

 

 

天沼陸橋下を走る中央線          

■高架化の断念は?
線路に架かる天沼陸橋が戦前から着工されて戦後1955年に完成されたのが理由だが、最終的には1962年ごろにその当時の国鉄との話し合いが地元反対で不調に終わったことが原因のようだ。戦前から北口にあった貨物駅が無くなることを懸念した地元代表の一人が反対したからという説と、その当時駅周辺にあったバラック街の立ち退きが荻窪駅では上手くいかなかった説があるようだ。

■南北分断の街の発展には
南北の分断は街の個性と捉え、北口の住民は南に、南口の住民は北に往き来し、普段行かない街を楽しむことが出来ればいいと考える。例えば、南口には著名人のかつてのお屋敷や別邸を整備した庭園があるので、公園となった史跡を散策したり、地元民に人気の中華屋を訪れるといった再発見の楽しみ方である。