インバウンドビジネスあれこれ
~「中国人」を真中に据えたインバウンド戦略~

国際部 米山 伸郎


 海外旅行客の懐を狙うインバウンドビジネスは頓に注目を浴びているが、同じく日本に居ながらにして海外の消費者に販売できる越境ECサイト構築についても注目が高まり、中小機構などを中心に中小企業のECサイト構築を支援する施策が展開されている。 自分の仕事でも、中国の通関会社が起こしている海外の商品を免税輸入するECショッピングモールサイトに日本の中小企業の有望な商品を紹介しようと努力しているところである。
 中国では一人っ子政策の影響もあり、かわいいわが子には日本製の質の高いミルクやオムツなどのニーズが高く、マツモトキヨシをまるごと欲しいという話も聞くが、どの商品分野まで「日本製(made in Japan)」が差別化になるのかはよくわからない。いずれにせよ、中国の潜在購買力は圧倒的であろうと思って調べたところ、丁度経産省が平成26年度の日米中の越境EC越境購買額を発表していた。
 それによると日本の消費者による米国および中国事業者からの越境EC購入額は2 千億円(前年比8.9%増)、米国の消費者による日本及び中国事業者からの越境EC による購入額は8 千億円(前年比13.0%増)、中国の消費者による日本及び米国事業者からの越境EC による購入額は1.2 兆円(前年比53.0%増)とのことで予想通り規模も伸び率も中国が圧倒的であった。
 今後の見通しとしても、「2018 年までの日米中3か国相互間の越境EC 規模を試算したところ、消費国としての推計市場規模は、2014 年から2018 年までの間に日本は約1.4 倍、米国は約1.6 倍、中国は約2.3 倍の規模となり、日米中3か国間における越境EC による購入総額合計は、2018 年までに約4.4 兆円にまで拡大する可能性がある」と記されていた。
 旅行者一人当たりの日本でのショッピング高も中国人は米国人旅行者の数倍と言われており、「インバウンド戦略」とは実効上「対中国人戦略」と言えるのかもしれない。


以上

(2015年7月)


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