インバウンドビジネスあれこれ

 昨年、外国人訪日客が1,340万人を突破し、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今後ますます来日外国人の数が増加するであろうという状況にあることは、皆様ご存知通りです。
 今回は来日外国人観光客を対象にした飲食・宿泊・小売業界におけるインバウンドビジネスの取り組みをテーマにいたします。

 多くの外国人観光客は、単なる名所観光や買い物のみならず、日本の独自の文化や風習、習慣、食べ物を楽しみに、日本を訪れています。これは普段、日本人を対象に日常的に自店で行っている商品やサービス自体が、外国人観光客にとって新鮮な感動体験となる場合も多々あるとも言えます。これらを知った上で、外国人観光客に対応することで、外国人観光客により楽しんでいただき、来日リピーターを増やすことができるのではないでしょうか。

1.外国人観光客に好評なお土産
 記憶にも新しい中国人観光客の「爆買い」では、高級炊飯器などの家電、高級時計、化粧品などが中心的なアイテムでした。しかしながら次のような商品も人気があります。
 ①「日本」や「和」を感じるもの
  工芸品や絵画、手の込んだ飾りやアクセサリー、金箔をあしらった漆食器など、伝統色が感じられて「日本」や「和」を実感できるもの。例えば、日本の高品質なハサミや包丁に自分の名前を漢字にして入れてもらう欧米の観光客が増えています。これは欧米において「漢字がクール」と流行になっていることが背景となっています。また、宿泊業においては宿泊客の一室に綺麗な千代紙で作った折り紙を置いておくサービスも人気があるようです。
 ②「先進的で高度な技術」を感じるもの
  化粧品、油とり紙、家電、医薬品、虫よけなど
 ③低価格ながら品質に優れているもの
  100円均一商品、カップ麺、入浴剤、健康グッズ、文房具など
 ④自国にはない習慣の関連商品
  例えば、弁当は、「BENTO」という言葉ができているほど、フランスを筆頭に欧米でブームになっています。箸や弁当箱のみならず、弁当を作るための工夫された道具・調理器具や弁当の料理本など関連する商品も好評です。また、折り畳み傘や、UVカット効果の高い日傘なども外国人観光客にとって興味を惹く商品です。

2.外国人観光客にとって感動体験になるもの
 ①治安が良く、紛失物が戻ってくること
 ②ウォシュレットやタクシードアの自動開閉
 ③温泉や秘湯での体験
 ④秋葉原のメイドカフェやコスプレなどのアニメや漫画の体験
 ⑤工場見学や工場夜景クルーズ
 ⑥水道水がそのまま飲めること
 ⑦自動販売機での購入

3.接客
 日本人にとっては当たり前のことが、外国人韓国客には驚きのことが多くあります。その筆頭が接客ではないでしょうか。まず、礼儀正しさは世界一だと言って良いでしょう。ましてやサービスを受けてもチップは不要です。店によってはボタンを押すことでウェイターや、ウェイトレスが飛んで来て、接客に努めるようなシステムは他の国ではほとんどないでしょう。一方で、日本人は日本語以外の外国語を話せる人が多いとは言えません、折角の接客技術を存分に発揮できない現実があります。日本の物品や食事、観光地だけでも満足する外国人観光客も多いでしょうが、日本人とのコミュニケーションは実体験として外国人観光客の思い出に刻まれるはずです。外国語がうまく話せなくても、丁寧でにこやかな対応は必ず外国人観光客にも伝わりますので、カタコトでもよいので積極的に話しかけることを強くお勧めいたします。来日外国人に対するアンケートによると、言語に関しての支障については余り気にしていないようです。

 以上をご参考に来日外国人対応の一助となれば幸いです。

以上

(2015年5月)


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