マカオに行ってきました
国際部  中村 寛

 今年3月に妻と子供二人の四人でマカオを訪れた。マカオに点在する世界遺産建築とポルトガル料理がお目当てだ。というわけで、今回はマカオについてご紹介する。最後に東京で味わえる本格ポルトガル料理店を紹介しているので是非ご賞味あれ。
マカオ観光は香港旅行に組み込まれていることが多い。香港からフェリーで日帰りのツアーだ。つい先日、香港とマカオを結ぶ世界一長い全長55㎞の橋が開通した。これによって香港からのアクセスはよくなり、マカオへの観光客も増加することだろう。因みに私はマカオ航空の直行便を利用した。左右3列ずつの150人程の飛行機で、大気の状態が良くなかったのか、ブランコのようにずいぶんと揺れた。
日本との時差は1時間。公用語は中国語(広東語/繁字体)とポルトガル語だが、ポルトガル語は道路標識やバスのアナウンスで流れる程度で、人口65万人のうち92%が中国系ということもあって、話されているのはほぼ中国語だ。もっとも観光で成り立っているところなので、主なホテルやレストランなどでは英語は通じる。通貨はパタカ(Pataca)と100分の1単位のアボス(Avos)。3か月以内の滞在はビザ不要だ。
              
        聖ポール天主堂跡                      石畳の街並み

 16世紀初頭、ポルトガルはマカオを東南アジア・東アジアへの貿易およびキリスト教布教の拠点とし、1849年に植民地とした。その当時の教会や建造物が「マカオ歴史市街地区」として2005年、ユネスコ世界遺産に登録されている。日本人には馴染み深いフランシスコ・ザビエルの遺骨が安置されている聖ヨゼフ協会、長崎で殉教したポルトガル人宣教師や島原の乱での日本人殉教者の遺骨が安置されている聖フランシスコ・ザビエル教会、日本人宣教師の教育が行われていた聖ポール天主堂跡などがある。それらは歩いて1時間から1時間半程度の区域の中に点在しており、天気が良ければ街の雰囲気を感じながら歩いて回れる。路地に入ると石畳や石造りの建造物の閑静な佇まいがあり、16世紀のポルトガルが感じられる。私はポルトガルの街並みをじかに見たことはないが、ポルトガルがブラジルを植民地にした当時の拠点であるブラジル東北地方の都市サルバドールにマカオの街の雰囲気が似ているのだ。また路地もそうだが、マカオの中心地、セナド広場でもサルバドールのある広場が思い起こされた。その広場も観光スポットだが名前は奴隷広場という。アフリカから連れてこられた奴隷が取引されていたところだ。
               
                        セナド広場

 古い町並みとは対照的にマカオには奇抜な建物が多く、目を楽しませてくれる、というかビックリの連続だ。到着した夜9時頃のマカオ空港からホテルに向かうバスからは、虹色に光り輝くホテルやカジノ、門前に鎮座する大きな金色のライオン、光を受けながら形を変えるカーテン状の噴水などが見え、車内は驚きの声とシャッター音が絶え間なかった。金の使い方が違う。
         
          バスから見えたホテル①                   バスから見えたホテル②

 ホテル到着後、何軒かのカジノに行ってみた。貧乏旅行なので賭け事はせず見学だけだったが、結構面白かった。VIP用のカジノでは掛け金の最低額が1万円相当で、遊んでいたのは殆どが中国人だった。ルーレットで大当たりしていた女性の周りに人だかりができていたが、あの女性はきっとサクラだろう。

 ここからは今回食べた料理の話をしよう。マカオでは、中国料理、ポルトガル料理、マカオ料理が味わえる。マカオ料理はポルトガル料理をベースに中華を取り入れたものだが、今回は食しなかった。まず着いた晩の夕食はホテルの近くの中国料理で済ませた。中国料理は広東料理が主流だ。最初に青島ビールを注文し、壁に貼ってあるメニューの写真を見て、適当に美味しそうなものを頼んだ。夜遅かったこともあり二品だけだったが、そのうちひき肉とピーナッツと唐辛子を炒めたヤツは舌が痺れて痛かった。
 翌朝、事前に調べていたポルトガル人がやっているというカフェに行った。ポルトガル人っぽい若い男性がケーブルテレビらしいサッカー番組から目を離して応対してくれた。「日本から初めてマカオに来たのだが、何がおススメか?」とポルトガル語で聞いてみると、エッグタルトを勧められた。それだけでは少ないので、コッペパンのようなものにハムとチーズを挟んで軽く焼いたものとコーヒーを注文した。男性は注文したものを我々に差し出すと、またサッカー観戦に戻っていった。香港のお土産にエッグタルトがあるが、そもそもこれはポルトガルのお菓子で、それがマカオに伝わったものだ。マカオで食べたのは大変美味しかったが、恐らく本国で食べるとものすごく甘いのではないかと推測する。
        
               ポルトガル人カフェのエッグタルトとハムチーズサンド

 その日の昼と夜はポルトガル料理店に行った。昼食は歩道で「葡国料理」の看板を持っていた女性の案内で、とある店に入る。そこでケールのスープ、チーズ&オリーブonトマト、ビーフシチューとビールを注文した。ポルトガルっぽかったのは、ケールとオリーブ、それにトマトか。トマトはポルトガルの主要農産物である。
                    
                      ケールのスープとトマトサラダ

 夜はホテルに置いてあったガイドブックに載っていた店に行った。粗挽きソーセージ、タラの塩漬けをほぐしたものと千切りポテトフライを混ぜたもの、豚肉とジャガイモを煮たもの、トマト・レタス・オリーブのサラダ、およびビールのちワインを注文した。ポルトガルでは魚介類がよく食べられるが、特にポルトガルっぽいのはタラの塩漬けだ。ポルトガル語でバカリャウ(bacalhau)という。今回は予算の関係でほぐしたものを食べたが、しっかりした切り身のものをオーブンで焼いたものは絶品だ。
      
      バカリャウとポテトフライ               粗挽きソーセージとトマトサラダ

 ポルトガル料理に関しては東京にいい店があるので一度トライされてはどうだろう。店の名はManuel Casa de fado (マヌエル・カーザ・デ・ファド)。ググると出てくる。今回知ったのだが、この店の本店はマカオにあるらしい。
旅行先で入るレストランは、ガイドブックに載っていないところと決めている。今回も全てネットや現地で調べたところや、ぶらっと入った店だ。その方が値段も安く、現地の味や雰囲気が楽しめる。またポルトガル料理を食べに行ってみたい。




以上

(2018年11月)

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