留学生数の動向及び世界大学ランキングについて

日本での外国人留学生/日本人の海外留学生の各々の動向と世界大学ランキングにおける国際性評価について紹介します。

1. 日本での外国人留学生の動向
 (独)日本学生支援機構によると、平成29年5月1日現在の外国人留学生数は
 267,042人(総数) 前年より11.6%増
 (内) 188,384人(高等教育機関) 前年より10.1%増
 (内) 78,658人(日本語教育機関) 前年より15.4%増
となっており、平成25年の約170,000人から4年間で約10万人と急増しています。
出身国別の内訳は次表のとおりで、上位ほとんどがアジアからとなっています。特に
中国からが突出していることと、ベトナムとネパールがそれに続いていて、韓国・台湾より上位に位置していることが注目されます。


2. 日本人の海外留学生の動向
 (独)日本学生支援機構の調査では、日本人の海外留学生数は2016年に約96千人であり、年々増加する傾向を示しています。しかしながら、留学期間別の内訳を見ると、1ヶ月未満が60%を占めており、1年以上の留学は2.5%と非常に少ないと判ります。つまり、海外の高等教育機関で学位を取得する等の本格的な勉学を目的とするよりも、言語や生活の雰囲気に慣れるための短期間の滞在が主体であると考えられます。
 また、留学先の地域別内訳では、アメリカ・オーストラリア・カナダ・イギリスという英語圏が上位を占めていて、全体の50%を超えています。


3. 世界大学ランキングの国際性評価
 大学の国際的比較をするランキングは複数のものがありますが、ここではイギリスの「タイムズ・ハイアー・エデュケーション」が公表する『THE 世界大学ランキング』を見てみます。同ランキングでは、毎年上位に英米の有名大学が並んでおり、日本からは東京大学(46位)と京都大学(74位)が上位100位以内に入っています。
 2018年ランキングの総数は1,103校であり、国別では、アメリカとイギリスに次いで日本が第3位にランクインしています。
         

 世界版『THE』では複数の評価項目に重み付けした総合点でランク付けしますが、国際性の評価の配点は5%であり、限定的な要素との扱いとなっています。
 一方で、日本版というランキングも公表されており、次の図のように国際性の評価項目に大きな配点(20%)を与え日本の大学の特色を独自に評価する仕組みとしています。
※国際性の内訳は「外国人学生比率(5%)」「外国人教員比率(5%)」「日本人学生の
 留学比率(5%)」「外国語で行われている講座の比率(5%)」となっています。
         

                         日本版における評価項目の配分割合

4. 世界大学ランキング日本版に見る国際性評価
 2018年日本版では、総合ランキングの他に分野別ランキングが公表され、国際性分野では「1位:国際教養大学(秋田県)」「2位:立命館アジア太平洋大学」「3位:国際基督教大学」が上位であり、いずれも国際的人材を育成することに重点を置いています。
 さらに、国際性評価のランクが高い大学の特色や取り組みを見て行くと、様々に独自の工夫がなされており、高等教育の場での国際化が本格的に進んでいると感じます。
 例えば国際教養大学では「外国人学生比率:20.4%」「日本人学生の留学比率:17.2%」
「外国語で行われている講座の比率:80.8%」「海外大学との大学間協定数:185」とのデータが示すとおり、国際性でランキング1位となっています。そして、外観だけではなくその内容でも充実しています。特に卒業要件となっている留学は語学留学ではなく、専門課程を1年学び取得単位を持ち帰る必要があります。さらには、海外大学との交換留学によって、日本の学内に多くの留学生がいるため、多様な言語と文化の環境が恒に存在するというように、教育環境自体が進化していると言えるでしょう。

5. 考察
 上記の外国人留学生や日本人留学生の総体的な動向では見えてきませんが、世界大学ランキングと組み合わせて考えてみると、日本の大学も国際的な視点からの人材育成の重要性に気付いて様々な取り組みを行っていることが分かります。
 このことから、留学生の教育環境が良くなって日本で学ぶ外国人留学生が益々増加するとともに、これからグルーバルに活躍ができる日本の若者が多数育ってくると期待して良いのではないでしょうか。

以上

(2018年6月)

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