日本語のグローバル化の良し悪し

国際部 米山 伸郎

 昨今IoT (Internet of Things)やビッグデータ、サイバーセキュリティなど横文字やカタカナ表記が先端的印象を与える。
 従来からあるエレクトロニクス、メカトロニクスやロボットも出所が欧米ということからカタカナ表記もやむを得ないと思うも、日本が出所であったり日本が世界を席巻しているような技術は少なくとも国内では日本語的表現で、と思ったりもする。
 例えば日本の優れた「発酵」技術は食糧・飲料から医薬品、化粧品にまで幅広く適用され環境とヒトに優しい技術であるが、「バイオ」として遺伝子組み換えなどと一緒にしてしまうのは如何なものかと思う。
 ナノテクでも「超微細加工」技術の方が日本の中小企業の強みが伝わる気がする。海外では「寿司」「ラーメン」に続き「うどん」「そば」「おにぎり」がそのまま日本語の発音で地元消費者の食欲を刺激している時代である。
 一方、縁あって米国のビッグデータ関連のテキストマイニング会社と付き合っているがその「自然言語処理技術」たるや40か国語の文章から文脈の解釈を通じ文章を固有名詞、一般名詞、品詞、動詞などに分類し標準化・辞書化してから人物や組織の特定、意味づけ、解釈を瞬時に行っていく。その中で日本語ほど難しい言語はないようだ。 中国語では一つの読みしかない漢字が日本語では音読み、訓読みが多々あり、同じ漢字の組み合わせの名前でも読み方が異なる場合がある。 そして文脈の情報量が少ない(主語省略、複数形、冠詞なし・・)  敬語など情報量が多い部分もあるが確かに英語の発音やカタカナ・アルファベット表記の方が一義的にコンピュータに伝わるのは間違いないようだ。 さてどこまで日本語的表現に拘るべきであろうか?

以上

(2016年4月)

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