LCCエアアジア搭乗記

                           国際部  齊藤 祐一

 

最近航空業界に、格安航空会社の新勢力が台頭している。

格安航空会社とは、効率化の向上によって低い運航費用を実現し、低価格かつサービスが簡素化された航空輸送サービスを提供する航空会社であり、ローコストキャリアLCCとも言われる。

スカイマーク、ピーチ、ジェットスター、エアアジアなどのLCCはご存じかも知れない。徹底した効率化でローコストを実現し、今まで航空機利用に縁のなかった層の需要を掘り起こし、航空機利用者全体の底上げに寄与しているとのこと。

それでは、LCCと通常の航空会社とのサービスの違いはどの辺にあるのだろうか。メリットとしては、勿論、通常の航空会社の割引料金の半額程度の低料金という点だが、デメリットとしては、下記のような点が挙げられるだろう。

・座席の間隔が狭い。

・飲み物や食事、毛布などの提供が有料である。

・座席モニター、イヤホンによる音楽提供などがない。

・荷物の無料重量限度が低く設定されており、追加重量は有料となる。

・フライト確定以降のキャンセルができない。

・マイレージを貯めるシステムはない。

1日あたりの便数を増やすため、かなりタイトなフライトスケジュールが組まれており、フライト時間に遅延が生じやすい。

しかし、これらのデメリットにあえて目をつぶれば、「破格の安さ」は非常に魅力的ではなかろうか。

さて小生は、会社の業務出張あるいはプライベートな旅行で、時折フライトを利用する程度だが、JALカードを保有している関係でJALを使用することが多い。しかるに今話題のLCCも経験しなければ、評価することも予約時の選択肢とすることもできないので、一度乗って見ることにした。

1月中旬のソウルへのプライベートな旅行で、昨年日本就航となったエアアジア(本社はマレーシア)を予約した。ネット予約では、席の埋まり具合により料金が上がっていくようで、早めの予約がよりお得である。指定した日は燃油料込で往復2万円、足元の広い席がプラス1,500円ほどなので、往路はこの席を指定する。

フライト当日は、Webチェックインをすませチェックインカウンターに行くが、手続きはスムーズだ。

ただエアアジアのカウンターは空港ビルの外部通路に応急で建て増ししたような造作であったり、搭乗ゲートからではなくバスで駐機している場所へ移動しての搭乗であったり、徹底したコストカットの影響が垣間見える。

印象的な赤を基調とした中型の機体(エアバスA320-200 180)で左右3列のシート構成。一機種に統一することで、標準化・効率化も推進し易いとのこと。成田-仁川間は、一日一往復、一番寒い時期のソウル行きということもあり、半分程度の搭乗率だ。

往路の席は足元の余裕は充分で、JALのエコノミーより広く感じる。復路にとった通常席は膝がシートにあたる感じでやはり狭さは否めなかったが。リクライニング幅も狭く一段階だ。

その狭さをカバーするのが、客室乗務員のユーモアたっぷりのスピーチとフレンドリーな対応だろう。魅力的な3名のCAの紹介スピーチは、こんな具合だ。「中央の髪の長い彼女はナツミ。お気に入りのヘアケアはヴィダル・サスーン!辛い料理が大好き、今はヨガに凝ってる様子 」、「お気に入りの娘が通りかかったら、飲み物の注文その他なんでもお声かけください!」。あとマリア(フィリピーナ)、レイコ(確か記憶では)もこんな感じの紹介がネイティブ英語と交互でアナウンスされる。うん、なかなかいいですよ!ここで差別化だね!と思いましたね。成田-仁川の2時間前後であれば、狭さもあまり苦にならず、彼女たちとのちょっとした会話も楽しめます。(写真撮らなかったのが残念)

飲み物、軽食類もリーズナブルなお値段で、3時間位までのフライトならまた使いたいと思った。フライトの目的、距離などにより、JAL、ANA等の航空会社と使い分けをする利用者は増えていくのではないだろうか。

余談だが、仁川空港ではエアアジアも他社と同等のチェックインカウンターを持ち、搭乗ゲートを使用している。ここでも成田空港の東アジアのハブ空港としての競争力の低下を如実に感じた次第だ。

最後に、あるデータでは、エアアジアの2012年の連結売上高は前年比11%増の50億リンギ、税引後利益は238%増の18・8億リンギ、乗客数は9%増の1968万人とのこと。エアアジアその他LCCにエールを送りたい。      


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