飲食店の経営改善の手段~厨房機器について~

城西支部 小原 英治

 

1.はじめに~飲食店が元気な街づくりへ~

地域支援には、自治体と一緒に地域の課題を分析し解決策を講じる、地域のプロジェクトや事業を支援する、地域のリーダーを育成するなど、さまざまなテーマがあります。

その中の一つとして、飲食店の支援は重要です。飲食店が元気になることで、街全体が元気になります。地域の特産を生かした名物料理の開発で観光客を呼び込み、その他の地域産業も活性化することはよくあります。また、活気がありおいしい飲食店がたくさんあるだけでも、地域の活性化に役立ちます。

飲食店から街の元気を増やし、地域の魅力を発信しましょう。

2.飲食店の業務改善

上述したように飲食店の業務を見直すことは、地域活性化につながる重要な取り組みです。具体的には、以下の4つのポイントに取り組むことで、飲食店の活性化を狙うことを考えてみましょう。

ターゲット顧客の明確化

ターゲット顧客を明確にすることで、そのニーズに合った商品・サービスを提供することができます。また、集客・販促の施策もより効果的に行うことができます。

■競合店との差別化

競合店との差別化を図ることで、自店の強みを打ち出すことができ、集客につながります。また、地域の特徴や資源を活かした差別化を行うことで、地域活性化に貢献することができます。

■地域との連携

地域のコミュニティと連携することで、地域の住民や団体とのつながりを深め、地域への愛着や親しみを醸成することができます。また、地域の食材や文化を活かした商品・サービスの開発につなげることもできます。

■コスト管理の徹底

コスト管理を徹底することで、利益を確保し、経営の安定を図ることができます。また、厨房機器の最新の機能を活用し、省エネや食材ロスの削減などによるコスト削減を図ることも有効です。

今回は補助金対象にもなっている、厨房機器の観点からコスト削減の徹底をテーマにしてみます。

3.オペレーション戦略からみた飲食店改革

厨房機器の話をする前にオペレーション戦略の観点からも整理しておきます。大きく分けて以下の3つのオペレーション戦略に分けられます。

■キッチンオペレーション

キッチンオペレーションは、調理場におけるオペレーションのことです。調理人の動線管理や調理プロセスの改善を行うことで、効率化を図ることができます。

具体的には、以下の点に取り組むことができます。

  • 調理場のレイアウトを見直し、調理人の動線を最適化する。
  • 調理プロセスを標準化し、無駄な作業を省く。
  • 調理器具や食器を効率的に配置する。
  • 調理手順をマニュアル化し、スタッフ間での共有を徹底する。

これらの取り組みにより、調理の時間を短縮し、食品ロスを削減することができます。

■フロアオペレーション

フロアオペレーションは、客席におけるオペレーションのことです。席の配置やスタッフの動線管理、言葉遣いなどのスタッフ教育を行うことで、顧客満足度の向上を図ることができます。

具体的には、以下の点に取り組むことができます。

  • 席の配置を効率的にすることで、客席回転率を向上させる。
  • スタッフの動線を最適化することで、顧客の待ち時間を短縮する。
  • スタッフの接客マナーを向上させることで、顧客満足度を高める。
  • レジ待ちや追加オーダーのしやすさを向上させることで、顧客の利便性を高める。

これらの取り組みにより、顧客の満足度を向上させ、リピーターの獲得につなげることができます。

■バックヤードオペレーション

バックヤードオペレーションは、厨房や店舗の裏側におけるオペレーションのことです。食材の仕入れや適正在庫、店内清掃、厨房機器の維持メンテ、売上管理、シフト管理を行うことで、経営の効率化を図ることができます。

具体的には、以下の点に取り組むことができます。

  • 食材を適切に仕入れることで、コストを削減する。
  • 適正在庫を把握することで、ムダな在庫を減らす。
  • 店内を清潔に保つことで、衛生管理を徹底する。
  • 厨房機器を定期的にメンテナンスすることで、故障を防止する。
  • 売上を適切に管理することで、経営状況を把握する。
  • シフトを効率的に組むことで、人件費を削減する。

これらの取り組みにより、経営の効率化を図り、利益の向上につなげることができます。

三つのオペレーションの観点から整理してみましたが、この中でキッチンオペレーション改革の主役である厨房機器導入によるコスト削減を考えてみます。

4.厨房機器導入によるコスト削減

厨房機器の導入にはいろいろな狙いが考えられますが、特に飲食店のコスト削減のために、厨房機器を導入する際には、以下の2つのポイントを押さえておきたいところです。

一つ目のポイントは、「調理人の稼働の平準化」です。飲食店では、昼と夕方の2回、来客に波が発生します。そのため、繁忙時間と閑散時間が発生し、稼働にデコボコが生じます。このデコボコを解消するためには、閑散時間に料理の下ごしらえを行う方法があります。しかし、下ごしらえにとどまらず、調理をほぼ完成させてしまうところまで行えると、さらに稼働の平準化を図ることができます。

二つ目のポイントは、「メニュー数の適正化」です。メニュー数が多いと、めったに作らない料理のための食材が無駄になります。調理頻度の低い料理は、食品ロスが発生しやすく、コスト増大につながります。

上記の2点のポイントから、時間があるときに多めに調理し、調理済み料理を保存しておくことで、稼働のデコボコを平準化し、珍しいメニューをラインアップしても、食品ロスが発生しにくい調理プロセスを採用することで店舗の魅力を訴求しつつ、コスト削減が狙えます。いわばメニューの適正数が大きくすることができるのです。

これらのポイントを踏まえると、多めに調理するための厨房機器と、作り置きするための厨房機器を導入することで、コスト削減を実現することができます。

5.多めの調理に便利な厨房機器について

スチームコンベクションオーブン(スチコン)、コンベクションオーブン、フライヤー、茹で麺機、製氷機などの調理機器を使うことで多めの調理に対応することができます。特にスチコンをうまく使うとアルバイトでも一部のメニューの調理をすることも可能となりますので、値段は張りますが、使いこなしたいところです。フライヤーや茹で麺機などは業種によっては大変効果が出てきます。

■スチームコンベクションオーブン

スチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)は、熱風と蒸気を組み合わせて調理を行う機器です。熱風で食材をムラなく加熱し、蒸気で食材の水分を閉じ込めることで、おいしく仕上げることができます。

スチコンのメリットは、以下のとおりです。

  • 食材をムラなく加熱できる
  • 食材の水分を閉じ込めることができる
  • 調理時間が短縮できる
  • 省エネ効果がある

スチコンは、焼き物、揚げ物、蒸し物など、さまざまな料理に活用することができます。スチコンは操舵を記録しておくことができますので、アルバイトでも一部のメニューの調理を任せることができ、人件費の削減にもつながります。

■フライヤー

フライヤーは、油で揚げる調理を行う機器です。大量の揚げ物を短時間で調理することができます。

フライヤーのメリットは、以下のとおりです。

  • 大量の揚げ物を短時間で調理できる
  • 均一に揚げることができる
  • 省エネ効果がある

フライヤーは、天ぷら、フライドチキン、唐揚げなど、さまざまな揚げ物料理に活用することができます。

■茹で麺機・製氷機

茹で麺機・製氷機の解説は省略します。

このように、スチームコンベクションオーブン、フライヤー、茹で麺機、製氷機は、飲食店の効率化やコスト削減に役立つ機器です。自社の業態やメニューに合わせて、適切な機器を選ぶことが重要です。

6.調理済み料理の保存のための厨房機器について

ブラストチラーなどでおいしさを逃がさずに冷蔵、冷凍し、そのまま冷蔵庫や冷凍庫などに保管する、あるいはブラストチラーの前に真空装置でパックすることでより安全に保管できるようにできます。最後に低温調理についても触れます。

■ブラストチラー

ブラストチラーは、食材を急速冷却する機器です。食材をマイナス30℃からマイナス40℃の冷風で吹き付けることで、食材の内部温度を短時間で下げることができます。

ブラストチラーのメリットは、以下のとおりです。

・食材の鮮度を保つことができる

・食材の風味を損なわない

・食品ロスを削減できる

ブラストチラーは、焼き物、揚げ物、蒸し物など、さまざまな料理に活用することができます。特に、調理済みの料理を冷蔵や冷凍保存する際には、ブラストチラーを使うことで、食材の鮮度や風味を保つことができます。

■冷蔵庫・冷凍庫

冷蔵庫も冷凍庫も家庭用のものもありますが、業務用は容量も大きく省エネ性能や耐久性に優れています。

機能の説明は省略します。

■真空装置

真空装置は、食材の空気を抜いて密閉する機器です。食材の表面から水分が蒸発するのを防ぐことができます。

真空装置のメリットは、以下のとおりです。

・食材の鮮度を保つことができる

・食材の腐敗を防ぐことができる

・食品ロスを削減できる

真空装置は、調理済みの料理や、生鮮食品、加工食品などを保存するのに役立ちます。

このように、ブラストチラー、冷蔵庫、冷凍庫、真空装置は、飲食店の食材管理に役立つ機器です。自社の業態やメニューに合わせて、適切な機器を選ぶことが重要です。

具体的な例としては、以下のような使い方があります。

  • 焼き鳥やフライドチキンなどの揚げ物は、ブラストチラーで急速冷却することで、食材の内部温度を下げ、食中毒の原因となる菌の繁殖を抑えることができます。
  • 煮込み料理やスープなどの汁物は、冷蔵庫でゆっくり冷やすと、風味が落ちてしまうことがあります。ブラストチラーで急速冷却することで、風味を保つことができます。
  • 食材を真空パックすることで、水分が蒸発するのを防ぎ、食材の鮮度を保つことができます。また、食品ロスの削減にもつながります。

これらの機器を活用することで、飲食店の食材管理を効率化し、コスト削減や食品ロスの削減につなげることができます。

■低温調理器

真空装置で小分けして真空処理し冷凍された食材を低温調理器で低温調理をすることができます。低温調理とは、食材を60℃~90℃の低温で、長時間じっくりと加熱する調理法です。

低温調理の特徴は、以下のとおりです。

・食材の旨味を最大限に引き出す

低温調理では、食材のたんぱく質がゆっくりと変性するため、旨味成分が壊れにくく、食材の旨味を最大限に引き出すことができます。

・食材の食感を保つ

低温調理では、食材の内部温度が徐々に上昇するため、食材の表面が焦げにくく、食材の食感を保つことができます。

低温調理は、食材の旨味を最大限に引き出し、食感を保つことができる調理法です。冷凍した食材を活用することで、調理の効率化や食品ロスの削減にもつながります。

7.まとめ

飲食店支援を中心に論点をまとめ、厨房機器のご紹介までしてみました。いかがでしたか。

もちろん厨房機器の導入にはコストもかかりますし、場所も取ります。安易に導入してもうまく活用できないでしょう。だからこそ診断士の伴走型の支援が求められているのだと感じます。

さらには、飲食店の経営支援にはこの他にも集客や再来店のための仕掛け作り、さらには地域の食材の活用などを使った地域全体での取組など幅広い施策展開が考えられます。各先生方はご自身の得意分野を活用しながらの提案活動をされていると存じます。

多少なりとも今回取りまとめた情報が役に立つことがあれば光栄です。