公証人・建築士も登場-豊島区事業と暮らしの無料相談会
城西支部 小泉 謙治
コロナ禍で中止となっていた「豊島区事業と暮らしの無料相談会」が、令和4年10月1日(土)に2年ぶりに池袋にあるIKE・Bizとしま産業振興プラザで開催されました。以前は豊島区役所1Fの大ホールで開催されていましたが、コロナ禍でもあり少し小さな会場での開催となりました。
この相談会で相談に応じるのは、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士、中小企業診断士、行政書士、建築士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、公証人の10士業。
現在相談には相続や不動産に関するものが多いのですが、公証人・建築士はそれらの分野プロ中のプロともいえます。公証人が遺言書を承認することによりはじめて公文書として扱われ、文書が公的に正当なものとなります。公証人は裁判官が定年退職後に就任することが多く、間違いなく法律実務のエキスパートです。そんな公証人が参加する相談会は珍しいのではないでしょうか。また、理系分野の弁理士や建築士が相談に応じることも多くはないと思われます。
一方中小企業診断士が活躍する経営相談は、コロナ禍での経営改善の相談が例年より多くみられました。
多彩な士業のなかでも診断士がとくに貢献できるのは、企業経営のマップであるBS,PLのうち売上高です。これだけは他の士業ではどうにもできません。コロナ禍における売上の減少にどう対応すべきか、販路の拡大について悩む経営者が増えています。
中小企業は特定発注先に依存する下請け的な形態が多くなります。コロナ禍で発注元の経営状況が悪化して取引が減少し新規開拓を迫られるケースが多いようです。取引先を増やすためには営業力の増加と受注した案件をこなす生産性が必要となります。そのためには人の採用が必要なのですが、昨今は人材採用がさらに難しくなっています。
しかしながら、昨今はインターネットの普及により、マッチングサイト、クラウドソーシングなどによりマンパワーを固定費化しない手法も増えています。インターネットに詳しくない経営者はそのような新たな手法をご存じない方も多く、それらの活用方法を案内することも有益になります。インターネット活用に関しては、コロナ禍で実店舗での売上が減少したため、ECサイト構築やホームページやSNSでの集客相談も多くなっています。インスタグラムやTikTok、YouTubeのインフルエンサー、アンバサダーマーケティングの相談も見られるようになりました。
そのほか相談に応じることでわかったのは、補助金についてほとんどご存知ないことでした。給付金についてはコロナ対応で受給したケースが多いのですが、補助金についてはほとんどの方が知らないようです。一方申請のためには、採択にあたり補助金を活用してどのように経営を改善するかの経営計画づくりが求められます。第三者が代筆して採択されたとしても事業者が自ら改善に向かえなければ税金と時間の無駄になりかねません。アドバイスには経営者自らの改善マインドに火をつけることも必須になります。
相談時間が30分と短くはありますが、相談内容により複数の専門家が同席しますので、事業者にとっては効率的に回答を聞くことができます。不動産経営に関する相談であれば、中小企業診断士、建築士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士、税理士が同席することもあります。
豊島区は近年区役所の移転をきっかけとして、池袋の再開発が進み街が大きく変わっています。隣接する大塚駅周辺も星野リゾートが進出するなど注目され、雑司ヶ谷地区もサンシャイン60に隣接していた造幣局跡が再開発されました。それに伴い地価の上昇、相続税への影響があるなか、団塊の世代が後期高齢者となり相談者の増加が見込まれます。
ケースごとに必要なアドバイスは多彩となりますので、複数の専門家が介する相談会は有益なものといえます。
なお、有志によるFacebookページに情報が掲載されています。
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