増加が見込まれるスモールビジネス

城西支部 近藤 隆

 岸田総理大臣が2022年は「スタートアップ創出元年」として、官民を挙げてのスタートアップ支援強化を表明しています。起業を支援するため、今年末に「スタートアップ育成5か年計画」を策定し、5年間で10倍増の創業を目標としています。明確な定義はありませんが、スタートアップは、革新的なビジネスモデルで短期間での急成長を目指すという特徴があります。
 スタートアップと似た組織に、ベンチャーが挙げられます。ベンチャーとは、既存のビジネスモデルを元に新しい商品・サービス・事業を展開しつつ、中長期的な成長を目指す企業のことです。
 ベンチャーの中でも、ターゲットを絞ってニッチな市場ニーズに対してフリーランスや個人事業主など少人数で経営するスモールビジネスがあります。スモールビジネスは大手企業が参入しない、比較的小さい市場のニーズに対応して商品・サービスを提供することにより、高いシェアを獲得することを目的としています。将来的には大規模なビジネスをしたいという起業者の中には、リスクヘッジを考えて、まずは小さな規模で様子を見ながら、徐々に拡大を目指していくという手法を取る方も多いと思います。例えば、大多数のニーズでなく、地域に密着した少数のニーズを捉えることができれば、ニッチ市場においてトップシェアを確保することが可能となります。競争が激しいレッドオーシャンではなく、市場は小さいが差別化しやすいブルーオーシャンを狙う戦略が成功するためには、有効です。

出典: 第155回 労働政策審議会労働条件分科会
(令和元年10月18日)資料NO.2

 ITインフラの充実や、ライフスタイルの変化、ニーズの多様化などにより、副業を希望している雇用者数が増加しています。そのため、少ない資金で、リスクを抑えてチャレンジできるスモールビジネスは、今後増加すると考えられます。
 また、厚生労働省は、平成30年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を制定し、副業・兼業の普及を後押ししています。
 スモールビジネスでは、既存ビジネスのような量産効果によるコストダウンは期待できません。しかし、経営環境の変化が激しい時代で、タイムリーに小回りが効く経営ができれば、既存ビジネス市場に参入するチャンスが生まれます。
 スモールビジネスのメリットは、①初期投資が少ない②やりがいがある③副業でもできるなどです。一方、デメリットは、①収入が不安定②自己責任・自己管理です。しかし、ニッチな需要を掘り起こせれば、安定的に収入を得ることが期待できます。
 スモールビジネスを始める上で重要なことは、どういうターゲットやニーズに対応するかに着目して、市場規模や競合状況、自社の競争優位性、シナジー効果、事業リスクなどを事前に調査することです。
 起業したばかりのスモールビジネスの最大の課題は、当店の認知度を向上させ、売上を上げることです。そのため、積極的なマーケティングが必要です。そして、有効なのは、SNSです。例えば、FacebookやInstagram、TikTok、YouTubeなどで、これらは、少ないコストで活用できます。