NPO法人中野中小企業診断士会の村田理事長    聞き手・文:津田美奈江


 さて、4区診断士会のトップインタビューとなる最後は、中野中小企業診断士会の村田理事長にお話を伺いました。
 村田理事長は長年中野区の商工相談員をされており、本日の舞台もその商工相談室をお借りしました。

1、NPO法人中野中小企業診断士会の沿革
2、村田理事長の運営方針
3、行政との良好な関係
4、村田理事長の経歴や想い

1、NPO法人中野中小企業診断士会の沿革
津田:ではまず、中野中小企業診断士会の沿革から教えて頂けますか?
村田理事長:設立は、1983年、昭和58年です。多分4区診断士会の中では一番若いんじゃないかな。
設立の経緯は、他の区の診断士会と同じように、当時の先輩たちが行政の仕事を請け負っているうちにそれが発展して、と言う感じです。2010年にNPO法人になりました。法人格を取ることによって仕事が取りやすくなりますからね。
村田理事長:今、会員数が90名強ですが、そのうち中野在住の会員は22名、25%弱ですね。僕が中野中小企業診断士会に入会した当時は会員数が50名弱くらいだったんですが、それに比べれば増えましたね。
津田:50名とは、こじんまりしていたんですね、でも、人気が出たんですね、
村田理事長:まあ、今規模的には適正なレベルと思います。特徴としては、全体に和気あいあいとしてますね、あまり会員同士ぎすぎすした関係がないというか・・・過去から培われた組織風土は大事にしたいと思っています。入会も敷居が低いんですよ、推薦人を介して申込書と経歴書を送ってもらえれば、面談もしないんです。
津田:そうなんですか、面談もないとは、フランクなんですね。
村田理事長:また、特徴としては、会員のうち企業内診断士は2割程度なんです。
津田:えっ、2割?他と逆のような感じですね、独立診断士が多いんですね。
村田理事長:まあでも、賀詞交歓会とか、メインイベントに参加するのは全体の4割程度と言ったところですけどね。

2、村田理事長の運営方針
村田理事長:僕はね、新入会員にはなるべく早めに、事業機会を与えたいと思っているんです。毎年6月には、当診断士会の説明会がありますから、まずそれを受けてもらってね。そこには区の職員も参加しますから、区との接点を会員も持てるようにして、活躍の場を新入会員にも提供しています。会員に対する公募案件も最近増えてきました。
津田:それはいいですね、実際に経験を積むことが一番スキルアップにつながりますものね。
村田理事長:また、会員の提案や意見は大切にする環境を整えています。2か月に1度の定例会には、7つの部の部長、副部長に参加してもらい、提案機会を設けています。僕はどんどんできることは任せるというスタンスですね。会員の自主性を尊重していますから。
津田:素晴らしいですね!
村田理事長:組織体制としては、部が7つあります。従来、対外活動は地域事業部が主体でしたが、対外接点を増やすべく研修部は、それまでの内部向けのセミナーだけでなく、外部向けのセミナーも受託するようにしたんです。また、国際化推進部や企画部を創設し、国際化推進部は区の施策に呼応した事業展開を模索し、企画部では先ずは中野区役所の一画を借りて、無料経営相談をやっているんです。
津田:今後どのような方に入ってきて欲しいとかはありますか?
村田理事長:能力的にどういう人を求めるっているのはないんだけれども、会の活動に積極的に参加してくれる人を歓迎しますね。部に属して活動してもらえると有難いですね。

3、行政との良好な関係
村田理事長:今、中野との接点も良好で、結構仕事を頂いているんです。ここ(中野区産業振興センター)もね、東京商工会議所中野支部や中野区商店街連合会、中野工業産業協会が入っていますから、自然と頻繁に顔を合わせる仲で情報交換は密です。毎月1回、私は区とのミーティングを定期的にやっていますし、区側もその他打ち合わせには弾力的に応じて頂けるので助かっています。
津田:羨ましいですね。結構行政との関係構築に苦労されている区の診断士会も少なくないのに・・・。
村田理事長:今頂いている仕事としてはね、まず、①このどこでも出張相談と言うのがあるでしょう(ポスターを指さし)、これはね、2011年に中野区に企画提案して、2年後の2013年に予算がついて、それ以来ずっとやっています。企画提案自体は2000年から毎年継続しています。それと、②中野区商店街連合会経由で「商店街スクラム事業」と言って、2008年から、もう10年以上ですね、中野の7つの商店街に診断士を派遣して、支援しています。
津田:支援の報酬はあるのですか?
村田理事長:もちろん。あと、③中野区が全業種に対する業種調査をしているんですが、それも平成27年から診断士会で請け負っています。その他創業支援診断を含め色々あります。それと、④創業セミナーってあるでしょう、それも昨年から東京商工会議所中野支部から請け負って、春と秋に4回シリーズで始め、多分今後も継続するはずです。ここの中野区産業振興センターでも、色々なセミナーやっているでしょう、⑤その枠を幾つかやらせて頂いています。これは無料ですけど会員の登壇の機会提供になるし当会から一部補助を出してます。こことの関係強化は大切にしないと。
津田:やっぱり、村田理事長のお力の賜物ですね。
村田理事長:いや、私一人では何も出来ません。区への提案は、採用されるのに時間がかかりますからね。区はもう1年も前から来年度の事業予算を組んでしまうから。それを見越して、一番効率的なタイミングで提案すること、また、常に区の担当部門のニーズをくみ取り、人手が足らなくて外部に委託したい案件を掴むことを心掛けています。今、また中野区への新しい企画を仕込み中です。
津田:それはなんですか?
村田理事長:まだ内緒です(笑)。
津田:本当に素晴らしいですね、内部の組織を改革して活性化し、外部からはどんどん仕事を取ってこられるなんて。
村田理事長:いや、僕は先輩方が築いた土壌に、花を咲かせ、実をならせたいと努力している最中ですよ。

4、村田理事長の経歴や想い
津田:ところで、村田理事長は、診断士としてご活躍になる前は、もともとどのような分野のお仕事に携わっていらしたんですか?
村田理事長:僕はね、総合商社の三井物産に勤めていたんですよ。営業畑一筋でね、まあ、多種多様な商売を経験しましたね。一般的に商社では、鉄鋼部門とか、食品部門とか、ある程度分野が限られる場合が多いのですが、恥をかきつつ色々な商品分野を経験しました。
津田:ああ、だから多様な経験を積まれて、営業能力がおありなんですね。
村田理事長:それが今に活きてますね、営業をしてきたことが人間関係構築にも役立っているし、初対面の人とも、1分くらい話せば、おおよその相手のことはわかりますね。
津田:ドキッ、まあ、私は別に見通されても大したことはないのでつまらないんですが(笑)。
村田理事長:そして、常に新しいことを考える、攻めの姿勢ですね。そしてくよくよしない。
津田:なるほど、事務職は言われたことを間違いなく、正しく行う必要があるのに対し、営業は言われたことをそのままやっていては絶対成果は出なくて、常に自分でやり方を考えないと駄目ですね。
村田理事長:そう、特に今は世の中の動きが早いからね、今までやっていたことでも、すぐに古くなり、陳腐化しますからね。
津田:そうそう、あと、理事長になられたメリットとデメリットを、皆様にもお伺いしてるんですが。メリットというか、理事長としてのやりがいとか、喜びと言うのはどんな時に感じられますか?
村田理事長:そうですね、それはやっぱり、打った施策が具現化した時とか、地域の発展に役立った時ですね。
津田:では、デメリットというか、例えば、理事長になると結構やることが多くて、ご負担になるようなことも多いのではと思いますが・・・?
村田理事長:う~ん、まあ、細かい雑務が多いですからね。貧乏くじを引いた感もありますが、余り苦になりませんね。
津田:さすが、前向きでいらっしゃいますね。
津田:最後に、城西支部に何かPRしたいことがあったら、お伺いしたいのですが。
村田理事長:そうですね、城西支部の地域支援については、従来と同じようなことをそのままやっているのではなく、時代の流れに応じて、新たな基軸を打ち出して欲しいですね。
津田:はい、地域支援部の一員として、貴重なご意見に感謝いたします(笑)。

編集後記】
 人懐っこい笑顔の村田理事長、ポイントを押さえたお話はとても面白かったです。その明るい雰囲気と前向きな取組みやご意見をユニークにお話しくださり、聞いているこちらも気持ちが活性化されました。こんな方がリーダーだったらついて行きたくなるだろうな~と思ってしまいます。多様な営業経験を積まれただけあって、短い時間でもこちらの立場を察していらっしゃると感じました。自然に人が寄ってくるような雰囲気をお持ちで、行政との関係構築も良好なのでしょう。やっぱりリーダーになる人は違うと、今回も感動の時間でした!